真珠の「色」と「てり」(1)_真珠の色の仕組み

貝という身近な食糧から採取された真珠は、他の宝石のようにカットや研磨をすることもなく人の目を射る輝きを放ちます。

米国の宝石学者G.クンツ博士が「自然のままで完璧な美しさを誇る真珠は、人類が最初に出会った宝石である」と語るように、その美しさに太古から現代まで人々は魅了されてきました。

さて、真珠の魅力について説明されるとき、「色」と「てり」という言葉をよく耳にしますが、具体的にどのようなことを指しているのでしょうか。

まず、真珠の色の仕組みを知りましょう。
1つとして同じ色の真珠は存在しない」理由が分かります 。

真珠には2色の色があります。
干渉色実体色です。

干渉色とは・・光っている色

シャボン玉が光にあたると様々な色をつくるような現象です。これは石鹸の膜の表面と内面で、それぞれ反射した光が混ざり合い様々な色を作るのです。真珠にも同様のことが起こります。光が干渉しあってピンクやグリーンの色を作るわけです。このように光が作る色を干渉色と言います。そして、真珠で起きる光の干渉現象=「てり」ということになります。

実体色とは・・実際の色

地色と下地の色に分かれ、実際に真珠に存在する色のことです。地色(ボディカラー)は、真珠層(※1)のたんぱく質の色素が集まって出てくる色です。下地は、真珠層の下にある有機物の色です。
(※1 真珠層は、レンガの家のように結晶が幾層にも積み重なってできています。それをくっつけているセメントのようなものがたんぱく質です。これについては、別の機会に書くつもりです。)

このように真珠は3種類の色を持っています。大切なのは、1つの真珠にこの3つの色が共存していることです。これが「1つとして同じ色の真珠は存在しない」理由です。