エイジャー・レイデン著の「宝石」~欲望と錯覚の世界史という本を読んでいました。
天然真珠について書かれていたところが、真珠について知るうえで参考になるかと思うのでご紹介します。
御木本幸吉氏が真珠の養殖に成功し世界の真珠業界を変える前は、天然の真珠が主流でした。
中世ヨーロッパでの真珠は、王族を連想させることと、数が少ない上に、一粒一粒がまたとないものであり魅力的だと感じられていました。
さらに、一粒の完全な真珠は、ひっそりと成長し、希少でほとんど手に入らないというファンタジーが魅力をさらに高めたのです。
以下、引用します。
偶然できたものや、ダイバーが見つけた天然の真珠は決して完全ではない。正確な球体ではないし、色も形もサイズも同じものは一つもない。宝石とは異なり、真珠は鉱山から出るわけでも鉱脈から見つかるわけでもない。生きている動物から一粒ずつでてきて、お互いに似ていることはめったにない。それぞれの貝の遺伝的特徴によって、真珠貝の色が決まるため、二個の真珠が正確に同じになるためには二個の同じ貝から生まれなければならない。八ミリ以上の天然真珠を見つけることは信じられないくらい稀有なことなのだ。天然真珠は相当小さく、普通は直径が三ミリ以下、鉛筆についた消しゴムの半分くらいの大きさだ。
土の中に永久的に埋まっていて、発見されるのを待つダイヤモンドや宝石類と異なり、真珠は生まれ、成長し、そして死ぬ。面白いのは、真珠はしばしば捕食されることだ。ほとんどがタコだ。(ルビーについて同じような話はない。)鉱物の宝石と違って、真珠は常にどんな日にもそこにあるというわけではないし、宿主の真珠貝も同じだ。真珠は有機的に生命体の中に発生するものなので、ほとんどはまだ発生もしていないか、またはもうなくなってしまった後かだ。したがってダイヤモンドなどは最も高値を付けた入札者に売られたが、真珠は本当に数が少ないものだったので、特別大きいか、品質の良いものはほとんど王室に予約されていた。
まず、真珠貝はその一生が限られた時間しかなく、その短い人生の中で真珠を育む。アコヤガイの場合、その一生は六年から八年だ。宿主が死ぬまでたった一粒の真珠しか成長しない。また、貝自体は見るからにおいしそうだ。扱いにくい小さい生き物だし、赤潮にも、寄生虫にも、ストレスやフジツボにも、水温の変動にも非常に影響を受けやすく、真珠貝が死ぬ原因は他にも色々とある。手入れはランよりも厄介だ。しかし、御木本は~省略
真珠は生き物からつくられていること、そして、とても貴重なものであるということが分かります。
養殖真珠がつくられるようになる前は、庶民には手の届かないものでした。
御木本幸吉は、後になって、世界中の女性たちの首を真珠のネックレスで飾るのが夢だったと語っているそうです。そういえば御木本氏の功績は、小学校の頃の道徳の教科書にも載ってました(*^^*)