この石はなんでしょう?
お店にある器材で鑑別をしていきます。
1 外観の観察からスタートです。
(1) 色は?
ライトブルーです。
(2) 透明度は?
透明です。石を通してものがはっきり見えます。
(3) カットスタイルは?
ファセッテッドです。平らで幾何学的な面でできています。
(4) 特殊効果は?
特殊効果とは、一部の宝石にでる独特の光学効果です。オパールやキャッツアイなどが有名です。
この宝石は、特殊効果はないようです。
(5) 張り合わせ石ではないか?
二個以上の石を貼り合わせたものではありませんでした。
2 次に屈折計でこの石の屈折率を調べます。
石にはそれぞれの屈折率があるので、屈折率が判明すると鑑別の精度が上がります。
屈折計のメモリを読み取ると1.58です。
3 次に偏光器で光学性の検査をします。
この検査は、詳しい説明は省いて結果だけ書きます。
複屈折
4 拡大検査をします。
ルーペと顕微鏡を使い、宝石の処理の痕跡や、石内部の亀裂や内包物などを調べます。その他天然石なのか合成石なのかを識別するうえで重要な検査です。
正面、側面、斜め、裏面などいろいろな方向から検査をします
顕微鏡検査では内包物や亀裂などがないきれいな石でした。
5 その他に比重、蛍光など様々な検査をしなければなりませんが、上記の検査で大体特定できそうです。
では、検査の結果から石を特定していきます。
まず色から宝石を絞っていきましょう。
透明なライトブルーの石はダイヤモンド、キュービックジルコニア、ジルコン、アパタイト、トパーズ、アクアマリン等があげられます。
さらに、屈折から絞ります。
この石は複屈折です。ダイヤモンドとキュービックジルコニアは単屈折なので外れました。
さらに、カットから絞ります。
アパタイトは硬度が低いので、表面などに摩耗が多く、ファセッテッドにカットされることが少ないので外します。
残ったのが、ジルコン、トパーズ、アクアマリンです。
ではこの中で屈折率1.58の石はどれでしょう。
ジルコン 1.925~1.984
トパーズ 1.619~1.627
アクアマリン 1.577~1.583
分かりました。この石はアクアマリンです。
当店では、このような簡易鑑別をしています。
なお、鑑定書付の鑑定をしてほしい方はGIAに依頼することができますので、お申し付けください。