シルバージュエリーのお手入れ

シルバーのジュエリーを机の引き出しなどに長時間放置しておいたら、黒く変色してしまった経験はありませんか?

原因は、シルバーの硫化(りゅうか)という現象です。銀は、空気中にある硫化水素や硫黄分などと銀が化学反応を起こして黒変してしまいます。

よく間違えられるのは、「空気中の酸素と化合して、銀がさびてしまう」ということですが、鉄さび等の酸素による酸化ではなく、硫化水素による硫化であるということをしっかり認識したいものです。例えば錆びたくぎは腐食し金属がボロボロになってしまいますが、硫化はそんなことはありません。

この表面変化を嫌って、宝石店で売っている大抵の日本のシルバージュエリーにはロジウムメッキがかけられています。

銀でありながら私たちの目に入るのはロジウムの表面ということになり、それを嫌い銀そのものの表面を好む人も多くなってきました。また、欧米ではロジウムメッキされたものは少ないのです。

当店のシルバージュエリーはメッキをかけていないので、銀そのものの表面を味わえますが、黒変します。お客様に末永くシルバージュエリーを愛用していただくため、黒変の理由とお手入れの方法を知っていただくことが、大切だと考えています。

黒く変色したところは、毒があるわけではありません。化学変化で変色しただけなので心配せずお手入れして使いましょう!

脇道にそれますが、黒変の影響か、銀=金属アレルギーと思っている方が少なからずいらっしゃいます。平成16年に厚生省健康被害病院モニター制度のパッチテスト受検者の陽性反応の結果では、受検者24名中コバルト45%、ニッケル67%、金25%、プラチナ12.5%、銀0%となっています。被検者数が少ないので誤差はあると思いますが、ニッケルが金属の中でアレルギー反応が多く、銀は少ないという結果です。安心してシルバージュエリーを楽しんでください。

お手入れは簡単です。

シルバー用のメンテナンスセットも販売されていますが、わざわざ購入しなくても大丈夫です。

一般的に簡単な方法は、湿らせた指先に重曹をつけ、黒くなった部分を軽くこすります。そうすると黒くなった表面がとれて白いシルバーの肌が浮き出てきます。そのほかに、アルミと食塩で煮るなどの方法もあります。

これは、化学反応を利用しているので、表面に傷つけることなく黒変を取り除けます。

しかし、私のお勧めは「ピカール」という金属磨きです。

ピカールなどの金属磨きは研磨剤が入っているので、表面についている目に見えない傷と一緒に黒変を落とします。研磨剤で表面が削れるといっても、何ミクロンの世界なので、それほど気にしなくてよいと思います。黒変と小傷がとれるので光の反射が良くなり金属に光が戻ります。

これがピカールです。(金属磨きなので宝石には使えません。特に真珠などは傷めてしまうので注意してください)

ホームセンターなどで、300g入り400円くらいで売っています。

表面が黒変したシルバーのリングを磨いてみましょう!

かなり黒くなっています。これでは使うのが嫌になりますね。

ぼろ布を指に巻き付け、そこに液を少し付けます。写真はちょっと多めです。

指の腹で拭くような感じで磨きます。しっかり磨きたい部分にあてるようにしてください。

黒い表面から、白い銀の肌が見えてきました!(一部18金です)

きれいになりました。布と指が黒くなっています。指輪の表面にはピカールに入っている油脂が付いているため、光沢がでていません。

セーム革で表面の油分をふき取ります。

セーム革がない場合は、歯ブラシに台所用洗剤をつけて洗えば大丈夫です。

セーム革
キョンという小型の鹿の革です。当店でも販売しています!

きれいに磨けました!

5分くらいで仕上がります。買ったばかりのようですね(^_-)-☆

シルバージュエリーはお手入れしながら使えば、一生ものです。大切にお付き合いしましょうね!

ピカールは家の中にある金属製品のほとんどが磨けますので、1本あると便利でおすすめです。(実は30年近く愛用している商品なのです。)